ミニPCが欲しい!~AOOSTAR GEM12購入記 その11 ローカルLLM GPT-OSS-120Bを動かしてみた~

PCパーツ

ここ最近、恐ろしいほどにAI技術が急速に発展してきています。

Stable Diffusion(ステーブル・ディフュージョン)は、2022年8月に公開されたAI画像生成モデルで、ユーザーが入力したテキストに基づいて高品質な画像を生成します。

また、OpenAI社が2022年11月に対話型の生成AIサービスの「ChatGPT」(LLM)を開発・リリースしました。

LLM(大規模言語モデル)は、膨大なテキストデータと深層学習を用いて構築されたAIモデルです。自然言語処理に特化しており、テキスト生成や質問応答など、幅広いタスクに活用されています。

一般的にLLM(大規模言語モデル)は扱うデータ容量が膨大なため、データセンタークラスのPC設備が必要です。

現在ではAI技術をクラウドでサービス提供するビジネスが急増しており、世界各地でAI用のデータセンターが建設されています。

コンシューマ向けのグラフィックカードや、64GB未満のPCメモリではLLM(大規模言語モデル)を動かすることすらできません。

AI用に使用されるメモリはHBM(High Bandwidth Memory)といわれ、超高速かつ大容量のデータ転送を実現しています。

HBM(High Bandwidth Memory)はメモリを製造するDRAMメーカーにとって高収益が期待できる製品のため、製造ラインのほとんどをHBMに振り向けています。

また、LLM(大規模言語モデル)を取り扱う際にデータ容量が膨大になるため、SSDでは容量が足りずHDD(ハードディスク)の需要がデータセンターで高まっています。

そのあおりを受けて、個人用PCパーツのメモリやHDDの生産が圧迫され世界中で品薄になっている状況です。

メモリやハードディスクの価格が高騰している件
メモリやハードディスクの価格が高騰しています。AIデータセンターなどの急激な需要増加によるものと考えられます。今後も価格高騰が続くと予想されますので早めに確保しておいた方がよいかもしれません。

LLM(大規模言語モデル)はサーバークラスのPCが必要で一般的なPCでは使用できないと思われていましたが、2025年8月にGPT-OSS-120BやGPT-OSS-20Bが発表・リリースされ、比較的小さいAIモデルのLLM(大規模言語モデル)ならローカルPCでも使用できるようになりました。

ローカルLLM(大規模言語モデル)は、クラウドを介さずにローカル環境で動作するAIモデルです。これにより、プライバシー保護オフライン利用が可能となり、API利用料の削減やカスタマイズ性の向上といった利点があります。

ミニPCのパーツ構成

GPT-OSS-120B モデルは、単一の80GB GPU で効率的に稼働しながら、コア推論ベンチマークで OpenAI o4-mini とほぼ同等の結果を達成します。

「単一の80GB GPU 」ってなんのこっちゃと思われるかもしれませんが、これが非常にやっかいな条件なんです。

AI技術を運用するにはGPUなどの高性能なコンピューティングユニットと、超高速なメモリが必要です。

特に一般的なPCメモリはAI分野では「低速」の部類に分類され、サーバーで使用されるHBM(High Bandwidth Memory)やグラフィックカードに搭載されているVRAMは「高速」なメモリに分類されます。

超高速なメモリは一般の方にとっては用意することが難しいパーツです。

現在市場価格で約40万円以上する「NVIDIA RTX5090」ですら32GB(VRAM)しかありません。

「単一の80GB GPU 」の条件を満たすGPU(グラフィックカード)は価格150万円の「NVIDIA RTX PRO 6000 96GB」しかありません。AIは恐ろしい世界ですね!

高速なVRAM(グラフィックメモリ)を豊富に搭載したGPUは、一部のブルジョワやAI企業しか金額的に手が出ません。

そこで次善の策として、Appleが開発した「ユニファイドメモリ(unified memory・統合メモリ)」や、ミニPCに採用されているLPDDR5などはVRAMには敵わないまでも従来のPCメモリよりデータ転送速度が数倍高速なため、AIモデルを展開するためには非常に有用となりました。

しかし、512GBの「ユニファイドメモリ」を搭載した「Mac Studio」は約160万円しますし、128GBのLPDDR5を搭載した「Minisforum MS-S1 MAX」も約40万円の価格です。

ワンランク下のAPU「Ryzen AI 9 HX 370」搭載ミニPCですらメモリ96GB搭載の製品は20万円以上費用が掛かります。

↓こちらはPC WATCHさんの記事です↓

【Ubuntu日和】 【第80回】Ryzen AI 9 HX 370でgpt-oss-120bをちょっぴり高速で動作させる方法
筆者は高価(価格が10万円以上)のミニPC購入からは距離を置いていたが、PADチャンネルのOpenAIの完全無料、ローカル動作LLM「gpt-oss」をCPU内蔵GPUで使ってみる【ウン十万円のGPUなしでも動きます】を見ていたら、自分でも...

2025年10月に、128GBのLPDDR5Xユニファイドシステムメモリを搭載し、最大2000億パラメータのAIモデルの推論処理や、最大700億パラメータのモデルのファインチューニングが可能な「NVIDIA DGX Spark」が発売されましたが、こちらも価格が約70万円します。

私たち庶民が手にすることができるローカルLLM(大規模言語モデル)環境は、一般的なPC128GBなどの大容量なPCメモリを増設して「GPT-OSS-120B」を動かすことが精一杯です。

幸い私は、意味不明にもミニPCのメモリを前もって128GBへ増設していたため、今回「GPT-OSS-120B」を動かすチャレンジをしてみました!!

今回使用するミニPCは「Ryzen AI 9 HX 370」や「Ryzen Al Max+ 395」でもない、ただの「Ryzen7 8845HS」搭載ミニPCです。

ミニPCが欲しい!~AOOSTAR GEM12購入記 その3 分解・パーツ交換編(無線LAN、メモリ、SSD)~
ミニPCのAOOSTAR GEM12を分解して、無線LANモジュール・メモリ・SSDの交換や増設をやってみました。ミニPCがWi-Fi 6E対応になり、メインメモリも64.0GBに増えました。SSDはシーケンシャル読み込み7000MB/s級のSSDが1TB+2TBの構成へ変更できました。ミニPCの分解・パーツ交換などはメーカーの動作保証外になり、何らかの不具合が出たとしても当方は一切責任を負いかねますのでご自身で問題解決できる方のみ行ってください。
ミニPCが欲しい!~AOOSTAR GEM12購入記 その9 メインメモリを128GBへ増設してみた~
ミニPCのメインメモリ容量が心もとなくなってきたためDDR5-5600 SODIMM 128GBキットを購入しました。Windowsに128GBで無事認識されMemtest86+も2Passノーエラーでした。

私のミニPC「AOOSTAR GEM12」は現在このようなPCパーツ構成になっています。

 PCパーツ種類         構成PCパーツ名
  CPUAMD Ryzen 7 8845HS
  グラフィックAMD Radeon 780M(APU内蔵)
グラフィックNVIDIA GeForce RTX4060ti 16GB(OcuLink接続)
  メモリCrucial 128GB Kit(2x64GB) DDR5-5600 SODIMM CT2K64G56C46S5 
  SSD(OS用)Crucial T500 2TB Gen4 NVMe M.2 CT2000T500SSD8JP
  SSD ORICO IG740PRO 4TB PCIe 4.0 M.2 NVMe 2280
RAMdiskCrucial 128GB Kitより16GB割り当て(一時ファイル展開用)
  wifi MT7922 Wifi6E+BT5.2
  OSWindows11 pro

「GPT-OSS-120B」を運用する環境に掛かった費用は、上記ミニPC構成から最低限の見積もりを行ったところ、「AOOSTAR GEM12:7万円」+「メモリ128GB:4万円」+「RTX4060ti 16GB:6万円」+「Minisforum DEG1:1万1千円」の約18万円でした。

「Ryzen APU」のみを使用するローカルLLMは、「TheRockのビルド」や「llama.cppのビルド」など各種プログラムの知識が無いとAI導入の敷居が高いため、今回は「RTX4060ti 16GB+Minisforum DEG1」をOculinkで外部接続することにより手軽にCUDA環境を構築しました。

↓↓「Minisforum DEG1を用いたOculink接続の外部GPU導入」はこちらの記事をご参照ください↓

ミニPCが欲しい!~AOOSTAR GEM12購入記 その4 外付けGPU接続編 Minisforum DEG1の感想~
AOOSTAR GEM12 8845HSを購入しました!OCuLink接続外部GPUアダプターの「Minisforum DEG1」が最近発売されました。グラフィックカードとPC電源を台座に取り付けて接続するだけで外部GPUが使用できました。

CUDA環境の何が良いかというと、「CUDA Toolkit」+「Python」+「PyTorch」を導入することで簡単に「LM Studio」などで「GPT-OSS-120B」を動かすことができるという点です。

しかも「CUDA Toolkit」+「Python」+「PyTorch」の導入は非常に簡単です。

NVIDIAには頼らん!「TheRockのビルド」や「llama.cppのビルド」は自前でできる!という方は「AOOSTAR GEM12:7万円」+「メモリ128GB:4万円」の約11万円で「GPT-OSS-120B」を動かす環境を整えることができたことになります。

LM Studioをセットアップ

LM Studio ホームページより

LM Studio ホームページより、「LM Studio」のソフトウェアをダウンロードします。

「LM Studio」をインストールします。

「LM Studio」のインストールは簡単です。

「LM Studio」で「GPT-OSS-120B」を動かしてみる!!

それでは「LM Studio」を実行してみましょう!!

「Choose your level」は取り敢えず「Power User」にしてみました。

「LM Studio」の最初の画面です。

画面左側にある虫眼鏡のアイコンをクリックすると「LLMモデル」をダウンロードするウインドウが出てきました。

「OpenAI gpt-oss-120b」が表示されているところをクリックします。

ダウンロードする「GPT-OSS-120B」のデータ容量は「63.39GB」もあります。

ダウンロード完了するまで待ちます・・・

待つこと十数分、やっと「GPT-OSS-120B」のダウンロードが完了しました!!

「GPT-OSS-120B」のモデルを読み込みます。

さっそく「GPT-OSS-120B」に質問してみましょう!

『あなたはだれですか?』

AI初心者丸出しですね・・・

しっかり質問に答えてくれました!!

簡単な質問なので、スピードは13.43tok/secとまずまずです。

次に少し高度な質問をしてみます。

なんか凄いですね!

表にしてPCメモリの高騰について説明してくれます。

今年6月頃からのDDR4メモリ製造中止や、最近のメモリ高騰などの情報が見当たりません。

「GPT-OSS-120B」はネットから切り離されたクローズドLLMを想定して開発されているため、このままの状態では2024年辺りまでの情報からの推測になっています。

最近の情報を取得してAI推論するという用途には向いていないようです。

また、少し高度な質問だったためかスピードは7.92tok/secしか出ませんでした・・・

速度は速くないですが、個人のPCでこのようなAIとのやりとりが自由にできるのは感動です!!

PCパーツの負荷はどうなっている?

「GPT-OSS-120B」を動かしている際の、各PCパーツの負荷はどうなっているのでしょうか?

AI推論をGPUではなく、CPUで行っているためCPU使用率が高めです。

PCメモリは「GPT-OSS-120B」を読み込んだ時点で86GB付近まで使用率が上がりました。

このミニPCは現在「RAMdisk」を設定しており、PCメモリから16GB使用しているため(16GB分のRAM使用率はRAMdiskのものと考えられる)、実際には「GPT-OSS-120B」の展開に65~70GB程度使用していることになります。

GPUの「RTX4060ti 16GB」も頑張って働いています!!

まとめ

今回はAI用途としては非力な「Ryzen7 8845HS」搭載ミニPCを用いて「GPT-OSS-120B」が動くか試してみました。

「GPT-OSS-120B」では簡単な質問であれば13tok/sec程度のスピードが出ました。

すこし高度な質問をすると7~8tok/sec程度しかスピードが出ませんでした。

実際にローカルLLMに触れてみて、実用的に使用するとなるとできれば「20tok/sec」以上のスピードは欲しいと感じました。

しかし、『「GPT-OSS-120B」の運用についての練習と考えれば、面白いおもちゃにはなったな』とは思いました。

今後も様々なAIサービスが出現してくると予想される情勢のなか、今からでもローカルLLMなどのAI技術に触れておくのは非常に有用なことだと思います。

皆さんも良いPCライフを送ってくださいね!!

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